2012/02/22

Ubuntu for Android で考える環境統合

こんなニュースが流れてきました。
UbuntuもAndroidも常用している僕としては反応せざるを得ない名前なので、どんなものなのかと整理してみました。これは、新しい。妄想が、膨らむ。

以下では、Ubuntu for Androidの概要を紹介しつつ、デスクトップ環境とモバイル環境の統合について考えます。


Ubuntu for Android とは

乱暴にいうと、携帯端末の中にデスクトップ環境もブチ込んで常に持ち歩いてしまえ、という発想です。

現在のところ、デスクトップ環境とモバイル環境は物理的に別々なのが一般的です。不便が生じる場合は必要に応じて、ファイルやブラウザのお気に入り等を同期しています。

デスクトップでUbuntuが一般的かはさておき。
この同期の仕組みとして、iCloud なり SkyDrive なり色々あるわけですが。
これを下図のようにしてしまうのが Ubuntu for Android の考え方です。

デスクトップにあるのはコンソールだけ!
※「プロセッサ」の数え方は微妙に正確ではありません。論理コア数ではなく物理コア数…も違うし、ちょっと適切な表現が思いつきませんでした。図ではイメージさえ伝われば。

使用イメージはこちらにある写真が分かりやすいでしょうか。
携帯端末が薄型ディスプレイに繋がっています。強調したいのはPC本体が(ハードディスクもマザーボードも)無い点です。モバイル端末の中身でそれらの機能を担います。

これまでに Apple や Microsoft が提案してきた形態は、オフィスや自宅に母艦的な役割を果たすハイエンドなストレージとプロセッサがあって、モバイルはネットワークを通じて母艦の情報を参照するシンクライアント的な関係だったように思います。
そういう意味で、Ubuntu for Android は新しい。逆行?超展開?ラディカル?

1つにする理由、2つにする理由

Canonical(公式)はこんな理由を挙げています。
Your next high-end smartphone has far more horsepower than you’ll need on a phone, and more than enough for a laptop. So we’ve brought Android together with Ubuntu

(ざっくり訳)次世代のハイエンドスマートフォン端末は、電話機として必要な能力を遥かに越えて余りある。ラップトップ端末としても充分な演算能力だ。だからUbuntuも入れちゃったてへぺろ☆

※訳に対するクレームは受け付けません

デスクとモバイルと2つある端末が、1つにできるなら1つにしちゃった方が良いよね、という提案です。

他方で、「じゃあ更に踏み込んでOSも1つにしちゃおうよ」という考え方もあります。しかし Canonical は Android と Ubuntu の2つを動作させる事を提案しています。

Why add anything to Android?(中略)Several vendors have tried to bring Android-based desktops or laptops to market, with no success; Android was designed for touch only

(ざっくり訳)なんで全部をAndroidに押し付けるんだ?Androidベースのデスクトップやラップトップを発売したベンダーもあるが、みな失敗している。Androidはタッチ操作するように作られているからだ。

マウスやキーボードが使える環境では Android を使うべきではない、と言っているわけですね。デスクトップ環境に最適化された Ubuntu があると。なので OS は別々なんだと。なるほど納得です。

性能面に懸念アリ

Ubuntu for Android の処理能力は常にモバイル環境のそれより低い事になります。上回る事はできません。これは致し方ないけれど、痛い。

性能に二重の制約がかかる
モバイル端末のハードウェア設計は、連続起動時間や本体のサイズや重量といった要素と処理能力とのトレードオフに配慮した上で、あるライン(独立したデスクトップ環境より劣る)に決定されます。
が、Ubuntu for Android はデスクトップ環境を想定しているので、その制約は不要なはずなのです。全力を出せる場所なのに足枷がはまっているようなものですね。

その上、AndroidOS も同時に動いているわけですから、モバイル故の要因で制限されたすら能力すら、全てを Ubuntu が使えるわけではない、と。

上図にある、「モバイルの制約」とドロイド君の比率が全体に対してどの程度の割合になるかを決めるのは、CPUメーカーだろうと思います。無視できるくらい小さい比率になったらいいですけどね。

パワーユーザでなければ

性能に関する懸念を上で挙げましたが、それが気にならないレベルであれば、もうデスクトップPCは要らないかも知れません。Ubuntu for Android の使えるスマフォと、デスクには画面と使い易いキーボード。以上! というのもスマートで良いんじゃないでしょうか。身軽そう。

僕? 僕はこう、開けてイジれる箱が無いとなんか落ち着かないんで…。

Ubuntu for Android 普及のキモ

このソリューションでキモになるのはドック(スマフォとコンソールを繋ぐ装置)だと思います。現状ではドックに関する詳しい記述がありませんが…。
  1. 拡張!拡張!
    モバイルユースでは軽くて長持ちするように最低限のハードウェアにしておけば良いのです。デスクトップユースの際にはドックに繋ぐわけですから、そのドックに豊富なRAM、パワフルなマルチコアプロセッサ、大容量のストレージを内蔵しておけば、上記性能面での懸念は払拭できますよね。
  2. あれ?
    じゃあもうそのドックに画面とキーボードつけたらよくね?持ち歩きも便利じゃね?電源さえ確保すればどこでも仕事できね? スマフォを内蔵するモデルでこそ光るのか…。コンセプトモデル()は幾つか見てきましたがピンときていませんでした。中身が Ubuntu for Android ならアリ。
冗談半分で書いていたのですが、そういう本体(端末)が出たら割と欲しくなってきてしまった!?

すぐできるプチ環境統合

とはいえ、Ubuntu for Android はまだ発表された段階で、現時点で手に取れるわけではありません。残念。
現時点でできる、モバイルとデスクトップの統合について紹介します。

上では挙げなかった、デスクトップPCとモバイル(スマートフォン)が物理的に別々だと不便な点。それは単純に、物理的動作の手間です。
  • PCの前にいる時に携帯が鳴った。メールがきたようだ。マウスとキーボードから手を離して携帯を手にし、そこでメールを読み返信を書く。
これ、不便ですよね。こんな風にできたらいいと思いません?
  • PCの前にいる時に携帯が鳴った。メールがきたようだ。マウスとキーボードから手を離さずPCの画面でメールを読み、キーボードで返信を書く。
操作効率としてはこっちの方が速いでしょう(超速度で打てる女子高生は除く)。統合の恩恵の1つです。
Ubuntu for Android は上記を実現します。が、この程度の事なら既存のアプリでも実現可能なんです。僕は既に自宅ではそうしています。
自宅にWi-Fi環境のある Android ユーザーの方はぜひ検討してみるべき。無料だし。

自動でファイルを同期する等の機能はありませんが、環境統合の恩恵を幾つか受けられます。
例えば、ファイル転送の為に PC とスマフォを USB で繋ぐ必要は無くなります。机の裏とかの繋ぎにくい配置の方にも嬉しいのでは。転送速度は USB の方が速いですけどね。

今は過渡期、将来はどうなる?

デスクにもポケットの中にもコンピュータがあるのが当然になりましたが、それらをどう使い分けどう使い合わせるかという問に「これが当然」という答えはまだ無いように見受けられます。ベンダーによってバラバラです。

現段階でどこが支配的になっていくかを予測するのは難しい(群雄割拠が望ましいですね)ですが、Ubuntu for Android が主流になることは無いと思うんです。プロセッサはともかくストレージをまるまる常に持ち歩くという発想が、ビジネスユースでは情報統制の観点から望ましくないから。
ノマド的な働き方の人には凄く良いんでしょうけどね。

旧来のサラリーマン的な働き方を想定すると、やっぱりオフィスに情報が集約されていてそこから適宜持ち出すという考え方が合理的に思えます。母艦とシンクライアントの関係です。最速ではない方法だけれど、危機管理を踏まえると最適じゃないかと。

業界全体に対する懸念は2つ:
  • かつてWindowsとMacで起こったように、互いのファイルが読めなかったりするような不便の再発は困る(こっちは多分杞憂)
  • 利便性とプライバシー/セキュリティリスクは常に隣り合わせにある(こっちは杞憂じゃ済まない)
最後に

色々書きましたが、仮にAndroidとUbuntuが支配的になったとしたら、僕は多分他のOSを使い始める可能性が高いです。厨二病を併発したgeekのポリシーなんてそんなもんで。皆が使ってるものはなんかイヤ。

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